投資ファンドとは何か 知っておきたい仕組みと手法 (PHPビジネス新書)



投資ファンドとは何か 知っておきたい仕組みと手法 (PHPビジネス新書)

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不動産・ヘッジ・企業投資ファンドの実態
本書が描こうとしているのは、
数多く存在しているファンドと呼ばれている組織のうち、

 1 不動産投資ファンド
 2 ヘッジファンド
 3 企業投資ファンド

の三つのタイプを扱っています。

それぞれのファンドが扱っている投資方法や投資先に関しては、
細かくその戦術も掲載されているのものの、

基本的には、いわゆる「さや取り」と呼ばれているもの、
市場の何らかの歪みを利用して、そこから利益を上げるというものです。

不動産ファンドであれば、不動産市場における価格の歪みから、
ヘッジファンドであれば、国の内外を問わず債券・株式市場における価格の歪みから、
企業投資ファンドであれば、企業本来の能力に対する市場価値の歪みから、

安価で仕入れをしておいて、高値で売り抜ける、
あるいは、買いと売りを錯綜させて、そのヘッジを取ります。

創業も多いがそれと同数の廃業も多いファンドビジネスは、
ファンドマネージャーの腕次第では巨万の富を築くチャンスでもあり、

債券・株といった伝統的なカテゴリーに、
不動産・商品などといった革新的な領域を開発すべく、
開拓精神と自らの卓越性を示す格好の場ともなっています。

銀行・証券会社は、こうしたファンドが開発した新たな地平を、
一般化した上で、金融商品として取り込んでいきます。

そういった意味では、最先端の金融ビジネス、
それこそが、ファンドの存在意義と言ってもいいでしょう。

こうした側面をメリットと言える半面、
マネージャーに依存することの多い情報開示の問題と、
ある意味での反社会性・犯罪性といった問題に関しては、
今後解決していかなくてはならないデメリットと言えそうです。

ただ、私たちが納めているはずの公的年金の一部、
銀行口座に残してある預金の一部、
生・損保契約で支払っている保険料の一部が、

こうしたファンドマネーに流れて行っていることも事実だとすれば、
すでに私たちは深く、そして気付かないうちに、彼らとの取引に加担していることも、
しっかりと理解しておかなくてはならないでしょう。

「ファンドに無関係ではいられない!!」
タイトル通り、投資ファンドの仕組みとその手法を知るには良い本だ。
大きな括りで「不動産投資ファンド」「ヘッジファンド」「企業投資ファンド」
の3つに区分、これだけでもファンドそれぞれの特徴が整理できる。
「村上ファンド」とジョージ・ソロスの「クォンタム・ファンド」は全く異質だし、
同じヘッジファンドでも取りうる投資戦略はこれまた異なる。
「ヘッジファンド」の投資戦略そのものを理解するには、ある程度の金融知識と
「専門書の読み込み」が必要・・・しかし新書で簡単にアウトラインが理解できる
のが本書の特徴。
投資ファンドは多種多様、そして私たちの日常に影響を与えているのは事実、
知っておいて損はない「分野」ではあることは間違いない。
ファイナンスを知らなくてもOK、難しい分野でも簡単に解説・・が嬉しい!!

ファンド
投資ファンドといえば、最近だとブルドックソースの買収をしかけた米系のスティール・パートナーズ・ストラテジックファンドや、もう少し前だと村上ファンドとかが、何となく思い浮かぶけれど、その実態といえばもちろん既成のメディアでは語られてきていない。

ハゲタカなんていうドラマが高視聴率をマークすると、日本人の大半は、「あぁ投資ファンドって金にもの言わせて企業を乗っ取るハゲタカ」=悪というイメージを抱き、大半はそんなメディアがつくりあげたイミテーションで満足して、理解しようとも思わない(必要が無い)中、投資ファンドの実態にマクロな目線から迫る良書。(そもそもドラマ中で描写されたものは事業投資ファンドと呼ばれる、株式を取得し、経営改善を迫るという、ファンドのひとつの形態に過ぎない。)

投資ファンドには大きく分けて、不動産投資ファンド、ヘッジファンド、事業投資ファンドに分けられ、それらファンドはそれぞれ投資対象が異なる。本書では、それら投資ファンドの実態を定量的なデータと、実際の事例等を引用しながら、大枠で捕らえている。
 
投資ファンドはその事業の性質上、ほとんどが私募形式であるため、その実態が見えにくく、政府の規制も働かない。所在地はタックスヘイブンと呼ばれる、税が発生しない地域で、財務諸表や投資対象、運用成績等は報告する義務も無い。しかもメディアでの報道のされ方や、有名なところだと米国のLTCMというノーベル賞経済学者を2人擁した債権裁定取引型ファンドの破綻等、ほとんどの人はそれらを一くくりに資本主義の行き過ぎた姿、ギャンブル稼業、虚業のイメージあると思う。そんな中本書を読むと、そのイメージは合理的な選択を着実に積み重ねる普通の企業の経営のあり方と余り変わらない様にも見え、その実態が見えてくる。

村上ファンド(自分でM&Aの法整備をしておいてあのやり方は汚い)の企業株式を取得し、経営陣に企業資産の有効活用を迫った方法は、強引といえども日本経済の活性化に寄与し、日本全体の株式会社は会社のあり方を考えざるを得ず、スカイラークやポッカといった企業は非上場の形態を選択した。とにかく、実態のわからなかった投資ファンドを大枠から整理し伝える本書は、新書ながら読後感もかなりのもの。著者の筆力に感服。

著書中では、それぞれの投資ファンドに深く触れているので、取りあえず投資ファンドとはどんな稼業か!?と興味ある人にお勧め。ただ、ミクロな点からは別書、直ソースを当たるしかない。

ファンド資本主義を理解する上で有用
本書は、投資ファンドを不動産ファンド、ヘッジファンド、企業投資ファンド、と分類し解説しています。どれか一つに特化して解説している書籍は多数ありますが、こうした投資ファンドの全体像を簡潔に記述した本は少ないように思われます。

本書のよい点は、1.理論的な概念・用語(DCF法、IRR、β、キャップレート等)を要所で丁寧に解説している、2.直近の動向についても記述している、の2点です。

・不動産のキャップレート(利回り)が減少傾向にあること、
・ヘッジファンドのプレーヤーが増加し利益確保が難しくなりつつあること、
・市場リスク(β)から個別リスク(α)への移行、

等の指摘は、今後のファンド資本主義を占う上での重要な示唆と考えられます。

昨今のサブプライム問題に代表されるように、ファンドが世界レベルで実物経済を動かすようになりました。ファンドの行動原理を理解しなければ経済の動向は予測できないといっても過言ではありません。

その意味で本書は、今後の経済事象の理解に資するものともいえるでしょう。

投資ファンドの仕組みが良く理解できます。
題名の通り、「投資ファンド」についての解説書的本です。

1不動産投資ファンド
2ヘッジファンド
3企業投資ファンド

とそれぞれを明確に区別して書かれており、非常にわかりやすい内容で、ファンドの仕組みが理解できます。

この本の最も良いところは、図や表が多くあり、理解しやすく工夫されている所だと思います。

また、ページ数もさほど多くないので、一息に読めます。

このような解説本にしてはめずらしく、起承転結が上手に構成されており、著者の主張も理解できるのがさらに本書の良さを引き立てています。


しかしながら、若干専門用語も出てくるので、日頃から経済誌を読んでいたりする人でなければ、抵抗を感じるかもしません。







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